木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

雨の日には雨の中を、風の日には風の中を

 「雨の日には雨の中を、風の日には風の中を」相田みつをさんの言葉です。今回はじめて集中的におこなった「素心の五行」の中で頭をよぎった言葉です。これまでは、「雨の日か、イヤだなあ、濡れたくないなあ」「冷たい風のつよい日は寒くてイヤだなあ」と思って、いろいろなことを避けていました。しかし、それは私の心の中の「自我」であり、「心のクセ」であることがよくわかりました。
 十二月一日から早朝三時に起床し、「素心の五行」(素直な心に至るための行動)を集中的におこないました。初日から冷たい雨と冷たい風。初めて集中的におこなう「素心の五行」をはじめるにあたり、それにふさわしい洗礼のようでした。その覚悟のほどがためされているようでした。しかし、それに負けぬ覚悟ではじめてみると「案外、何ともないことだ」と実感できました。気持ちが高まってくると、「冷たい雨、冷たい風、それもまたよし」と、すっかりそれらを受け入れている自分に気づきました。素直な心とは、好悪の感情をはさまずに、あるがままをそのまま受け入れることのできる、逆らわない心、やわらかい心をいいます。八日間のうち、六日間冷たい雨、冷たい風の中を腰骨を立てさっそうと歩きました。腰骨を立てさっそうと歩く姿こそが素心のあらわれだと思いました。「力を抜いて、心を開いて、たのしく、たのしく」と自分を励ましながらの歩行でした。残りの二日間は、頑張ったご褒美でしょうか。晴れわたった西の空に煌々と輝く満月が夜道を明るく照らしてくれました。何とも言えぬ幸せと心の喜びを実感できました。歩行以外は、室内でおこないますが、早朝のしーんと静まりかえった静寂の中、その静寂さと自分が一体になっているのを感じました。周囲の空気と、自分が同化した時、何とも言えない「静かな喜び」「心地よさ」が心に広がってきました。

 八日間の集中的に実践する「素心の五行」を終えて、何だか心のアカが少し落ち、体と心が軽くなったように感じます。またさらに「素心の五行」をもっとこのまま続けていたいという思いがしました。この心地よさから離れたくないなあと思いました。今回のことで今回のように、八日間連続して、しかも毎日三時間集中して実践することで、自然豊かな場所を数日間かけて歩く自然行の時と同じ「静かな喜び」の状態が得られるのだということを体得できました。

 これからも一年に数回、今回のような集中した「素心の五行」を実践し、心の置きところをつかみ「静かな喜び」で心が満たされる日々を過ごしたいと思います。

 

2015年1月 第288号より

芳野 栄

 
戻る