「ものは、一面的に見ず、多面的あるいは、全面的に見ることを知る」というものの見方の教えがあります。最近、なるほど、そのようなものの見方をしなければと気づくことがありました。
仕事が終わったあと、生地重量を計量したハカリの掃除をしました。ハカリに付着した生地や小麦粉を布や手ほうきを使ってきれいにし、「これでよし」とそのハカリを棚の上にしまっている時、ふとそのハカリに目をやると、あれだけきれいに掃除したはずなのに、下から見上げてみると、まだいっぱいの生地や小麦粉がついて残っているのです。「あれ、きれいになったはずなのに」と思い、また降してみるとやはりきれいです。これまで、このハカリの掃除は上から見て(図1)きれいになっていれば、それで良しとしていて、下からのぞいたりはしていなかったことに気づきました。(図2)
「ものは、一面的に見ず、多面的あるいは全面的に見る」ことの大切さを実体験いたしました。
同時に、人に対する見方もどうなのかなと考えてみました。どんな人にも、それぞれにいいところもあれば、未熟なところもあります。それをその人の一つの事象だけを見て、「あの人はこんな人だ」と決めつけていないかということです。一面からだけ見て、その人の欠点が目につけば、未熟な人だと決めつけ、良いところが目につけば、素敵な人だと決めつけてしまっているのではと思いました。まして、人の噂や評判もきっとこれと同じような見方の結果であって、決して鵜呑みにしてはいけないと思いました。そうではなく、自分自身でその人を多面的あるいは、全面的にしっかり見て判断し、その人のいいところも未熟なところもまるがかえで、その人を包んでいく広い心がリーダーには求められるんだと思いました。
また、経営上の問題を判断する場合、これまでの知識や経験から、「これはこうだ」と決めつけてしまうことがあります。先入観や自分の価値観、固定観念で判断してしまうのです。
いつも同じ切り口からしか問題をとらえることができず、誤った判断を下していく怖さがあります。
今回のことで、 ものごとは一面的に見てはいけないこと、またものごとを判断する場合には、先入観や自分の価値観、固定観念で偏った判断をするのではなく、素直な心、柔軟な心、とらわれない心で正しく判断していくことの大切さに気づきました。