木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

共に学び共に成長する

 先月、大阪でパン屋さんのための人間学講座を開催いたしました。私の所属しているPANメンバーズ会員を対象とした講座です。これまでパン屋さんの勉強会は、どちらかと言えば、パン造りに関する製パン技術講習会であったり、販売や接客技術の講習会がほとんどでしたが、私はそれらの専門的技術や技能を正しく生かすためには、人間性(人間の徳性)が必要だと考えてきました。四年前から地元北九州では、すでにパン屋さんのための人間学勉強会(あすなろ塾)を立ち上げ、塾生の皆様は、少しずつですが、思い方や考え方のクセがとれ、魅力的な人物に近づいていっています。このたび是非とも私の所属しているPANメンバーズの会員の方とも、共に学び共に成長したいと思い開催のはこびとなりました。

 勉強会が始まる前、参加された十名の方の表情からとても緊張しているのが伝わってきました。はじめに私の方から、勉強会開催にいたったいきさつの説明や勉強会の目的、人間力(人としての魅力)、人間の徳性の大切さ、勉強会に臨む心がまえなどをお話させていただきました。話を進めるうちに、参加された皆様の真剣な眼差しとその表情に、伝える側として、大きな手ごたえを感じました。熱心で誠実な皆様と出逢えたという喜びを感じました。そして、それはすぐに、私の持っているものを全てささげていこうという思いに変わりました。そのあと一人ひとりから勉強会出席の動機や抱負を一分間で話していただきました。皆様とても積極的な動機であり、「上司から参加しなさいと言われたから渋々来ました。」という方は一人もいませんでした。抱負も「リーダーを育てるリーダーをめざす」「管理者として自分を変える」「人間力をつける」「リーダーとして正しい判断ができるようになる」「社長をサポートし、会社を発展させる」等々どれもすばらしい抱負ばかりでした。さらにその積極性は、勉強会のあとの報告書の提出にもあらわれています。「勉強会終了後十日以内に提出して下さい」とお願いしていますが、終了後四日以内に提出していただいた方が多数いらっしゃいました。主催者側としてはとてもうれしいことです。

 一方私にとっても学びの大きいものでした。受講者に対する伝え方について学ぶことができました。私の思いや考えをただ伝えることと、受講者の心の中に響くように伝え、理解していただき、感動を与えるように伝えることの違いを学ぶことができました。このような勉強会では、「いい話を聞いた」で終わらせてはいけない。私の伝えた内容が相手の心に滲み込み、感動となり、行動を起こさせるところまで伝わりきれないといけないと言うことです。

 参加された皆様とのいい出逢いと、私にとってのいい学びのあった勉強会でした。これからあと六回。さらに共に学び、共に成長できる勉強会にしたいと思います。

 

2013年12月 第275号より

芳野 栄

 
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