木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

人材育成について

 ある新聞のコラムに、「人材を育てる時に大事なことが二つあります」として、「一つは、人材が育った状態とはどんな状態か。もう一つは、そのような人材を育てるにはどうしたらいいか。この二つを両方ともきちっと理解しておかないと人を育てることはできません」と書かれてありました。

 私も二十数名の社員をかかえる経営者として、人材を育成するという大切な仕事をかかえていますので、しっかりとした自分の見解を持っておくこと、そして、その見解を社員と共有しておくことの大切さを感じました。これまでは、人材を育成するということは、自分の会社の特徴にあわせた専門的知識だけを身につけさせるだけでなく、自社を退職したあとも一般社会で通用する人材に育てることが大切だと思ってきましたが、最近その内容が少し具体化してきました。

 先のコラムの一つ目の人材が育った状態とはどんな状態を言うのかということに対して、ひとことでいうと「魅力的で周囲の人から好かれるような人に育った状態」をいうのだと思います。魅力的な人物、人から好かれる人物になることで、自分の周囲に人が集まり、何かしようとするときには、多くの人の助けを得ることができます。そのことで、ものごとが成就していき、幸せな人生を送れるようになれます。また、魅力的で周囲の人から好かれるようになることで、自分の周囲の人にも良い影響を及ぼし、周囲の人の幸せも願い行動できるようになれます。

 人は決して一人では生きていくことはできません。必ず何らかの形で人と人との関わり合いの中で生きています。そして誰もが、幸せな人生を送りたいと望んでいます。そのためには、魅力的で周囲の人に好かれる人物になることが必要不可欠です。

 そのためには、思いやりの心ややさしい心を身につけることが大切となってきます。

 また仕事の面においても、周囲の人が一目置くほどの専門的知識や技術の修得も必要です。そのような方向に向かって、成長を続けているときに、「人材が育っている」と言えるのではないかと思います。私には、そうした所に向って社員を導いていく必要があります。

 一方、そのような人材を育てるにはどうするのかというと、まず第一に素直な心を身につけていただく努力をします。素直な心を身につけることで、人間の徳性(思いやり)が身につきます。そこに至るよう、素直な心を学ぶことの大切さを説きます。さらに、専門的知識や技術を伝えるべく努力も怠りません。専門的知識や技術は一度伝え身につくと、その吸収もはやく、一度身につけると退化することもありませんが、人間の徳性を身につけるのはなかなかむずかしいものです。しっかり時間をかけ、その必要性を説き、伝えていかねばなりません。そして両者をバランスよく身につけていただき、社会に適応できる人物を育ててまいりたいと思います。

 

2013年11月 第274号より

芳野 栄

 
戻る