木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

機敏さは思いやり

 あすなろ塾(パン屋さん主体の人間学勉強会)では、勉強会終了後十日以内に報告書を提出していただいております。その内容は、勉強会で発表した自分の体験発表の内容や他の塾生の発表で印象に残った発表、また勉強会で学んだことや今後実践しようと思うことなどを一枚の報告書にまとめて報告していただいております。

 これまで、この報告書を多くの塾生が十日間のうちの半ば以降の提出であったものが、最近次第にその提出が早くなってまいりました。勉強会終了後、翌日もしくは翌々日までに提出される方が全体の七割を越え、主宰する私としては、そうした機敏な行動をうれしく思っております。勉強会の翌日も早朝から仕事をかかえ、毎日忙しく働かれているにもかかわらず、時間をつくって報告書にまとめられ報告していただいているのです。頭の下がる思いです。

 私の伝えたことが正しく伝わったかどうか、また正しく理解できたかどうか、場合によっては、もう一度伝えなおす必要がないかなどとても気になるところです。したがって一日も早く報告書を手にしたいと思っています。そうした思いの中、早く手にした報告書にとても安心と喜びを感じます。また早く報告書を作成することで勉強会での学びも理解度が深まっていくものと思います。

 「素心学要論」(池田繁美著)という本の中に「機敏」ということについて次のように述べられております。<「機敏」とは時期をのがさずすばやく判断し行動に移す>とあります。そしてさらに<自分の都合はいったんヨコに置いてまず相手のことを優先させる。するとそこに「機敏さ」が生まれ相手を思いやることができます>。「機敏さ」は思いやりということです。私に対して早く報告して喜んでもらおう、私の喜ぶ顔を早く見たいという思いが機敏な行動となってあらわれているのでしょう。塾生の皆様の思いやりの心を実感できます。

 あすなろ塾の目的は、素心学を学び人格形成をはかることにあります。つまり素直な心を身につけ、周囲の人から好かれる魅力的な人間になることです。そのためには、周囲の人に対する思いやり(徳)が大切だと言えます。学んだことをすぐに報告書にして報告する機敏さは、とても大きな思いやりのあらわれです。

 共に素心学を学ぶ仲間がこうして学びを日常生活の中で活かしてくれていることがとてもうれしく、私にとって素心学を伝えていく大きなエネルギーとなっています。

 

2013年9月 第272号より

芳野 栄

 
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