木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

大切にしている徳目

 素心学塾(池田繁美先生主宰)の平成二十五年度の活動方針は、<品性豊かに生きるー素心の「二十の徳目」を修養する>です。素心の「二十の徳目」とは、素直、謙虚、礼儀、誠実、勇気、平静、清潔、和顔、愛語、温厚、義理、鷹揚、明朗、機敏、忍耐、寛容、献身、努力、責任感、正義感です。この素心の「二十の徳目」を意識し、実践し、身につけていきましょうということです。品性豊かに生きるには、どれをとっても欠くことのできない大切な徳目ばかりです。一日もはやく、身につけたいと思っています。

 さて、この素心の「二十の徳目」の中に、私がこれまでとくに意識し、実践してきた徳目が三つあります。それは「誠実」「機敏」「努力」という三つの徳目です。

 「誠実」とは「まじめでウソがなく正直であること。」私の父親はとてもきびしい人でした。若くして商売を始めた父は、信用、信頼というものをとても大切にしていました。そのためまじめでウソやごまかしがなく、正直に生きることをとても大切にし、私を育てる上でも「誠実」ということの大切さをよく説いてくれました。しかし私は学生時代、友人から「芳野はとてもまじめで正直だ」と言われるのをなぜか嫌うところがあり、素直に喜べませんでしたが、現在パン屋を経営する上で、これ以上の評価は他にないと思うようになりました。人として生きる上での大切な基本であり土台だと思っています。父親から躾けられたことが今は大きな財産となっています。

 「機敏」とは「機をのがさず手ぎわよく処理すること」です。なにごとにもちょうどよいタイミングがあり、そのタイミングをはずさず行動することで事がうまくはこびます。現在の場所で新店舗をかまえることができたのも、丁度よいタイミングで行動できたおかげだと思っています。

 事前準備を日頃から怠たらず上手にタイミングをはかりながら、すばやく行動することの大切さを学びました。また何事も自分本位で考えているとタイミングをはずしやすく機敏な行動はとれないこともわかりました。

 「努力」とは「適正な目標を立て達成できるまで行動し続けること」です。「努力」は私が生きる上で欠かすことのできないものだと思っています。「努力」を私から除くと、私が私でなくなると思うくらい大切にしています。元来私には人と比べてすぐれた知識や能力はありません。ですから人と伍していくためには、人の倍の努力をしないといけないことを心に刻んできました。小学校の時から現在に至るまで、そしてこれから先も努力なしには良い道は開けないと思っています。

 自分の身の丈にあった適切な目標を定め、その目標に向って行動してきた結果が今の自分の姿だと思っています。人に誇れるほどの努力はないにしても努力することには抵抗感はありません。

 誠実という人としての基本の上に、機敏に行動することや適正な目標を立て努力することが加わることでいい人生が送れると思っています。これからも「誠実」「機敏」「努力」の三つをさらに意識し、実践してまいりたいと思います。

 

2013年5月 第268号より

芳野 栄

 
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