木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

“職場体験” を通して

 地域社会へのお役立ちということで、これまで中学生の“職場体験”の場を提供し続けています。“職場体験”の目ざすところは、働く人の姿を見たり、実際に働いたり、話やアドバイスを受けながら、「働くとはどんなことか」、「働くことの意義」などを学ぼうとするものです。
 先日の職場体験実習のあと、中学生から次のような質問がありました。「今の私達、中学生が大人となっていく上で、アドバイスがあればお聴かせ下さい。」その質問に対して次のように答えました。
 一つ目は、ご両親に尊敬の念を持ち、同時に感謝の気持ちを伝えようと伝えました。「二日間働いてみてどうだった」の質問に、「とても疲れました」との答。「そうでしょう。働くということは、とても体を使い大変なことです。しかし、きょうの仕事以上に毎日長時間働いている方が、君達の周囲にいるね。誰ですか?」「両親です。」「そのとおり。ご両親は、朝早くから夜おそくまで毎日一生懸命働いているね。そして働いた結果給料を手にし、その中から君たちのために、不自由しないですむようにと努力されているのです。ご両親はとてもすばらしく立派で尊敬しなければいけないね。感謝の気持ちを伝えるといいね。とくに、自分の誕生日に、『いつもありがとうございます』とはっきり口に出して感謝の気持ちを伝えてみましょう」とアドバイスしました。
 二つ目に伝えたことは、自分のよいところ、好きなところをよく把握し、そこを伸ばして、世のため人のために役立てようということです。「一人ひとりには、他の人とは違ったよいところが必ずあるはずです。まずそれを自分でしっかりつかみ、認識しておきましょう。そして、それを世のため人のために生かすことが、生まれてきた理由かもしれないね」と話しました。
 三つ目が思いやりの心を育てていこうということです。
「思いやりの心とは、周囲の人に不快さを与えないことです。安心と喜びを与えることです。その基準は、自分がされてイヤなことはしない。自分がされてうれしいことを施していくということです。現在“いじめ”が問題になっていますが、思いやりの心が育っていくと“いじめ”はなくなると思います。なぜなら『自分がされてイヤなことは人にしない』というのが思いやりの心ですから。是非とも、これから先も、思いやりの心を育てていって下さい」と伝えました。
 木輪という職場を体験実習の場として選んでいただいたのもご縁です。このご縁ある中学生たちに、これから先、大人になっていく上で大切だと思うことをお話させていただくことは、とても責任のあることです。その責任あることを感じた上で、中学生の心に小さな灯をともしていくことも、私達大人としての責任を果すことになるのではないかと思います。信念を持って、これからも伝えてまいりたいと思います。
 

2013年3月 第266号より

芳野 栄

 
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