木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

良い社風が、いい会社をつくる

 

 先日パン屋さん達の勉強会で「良い社風がいい会社をつくる」というテーマでお話をさせていただきました。集まった経営者は、どの方もすばらしい製パン技術の持ち主ばかりで、自分の不得手としている経営の勉強をしようと、仕事を終えたあと、集まり勉強をされていました。とてもすばらしいことで、頭の下がる思いでした。そのような経営者を前に、私の経験から、良い社風をつくることの意義と大切さをお話させていただきました。

 <「いい会社」とは、単に経営上の数字が良いというだけでなく、会社をとり巻くすべての人々が、日常会話の中で「いい会社だね」と言って下さるような会社のことです>と伊那食品工業の塚越会長は述べられております。社員はじめ社員の家族や取引先、さらにお客様、地域の人々からも「いい会社」と認められることが大切だということです。

 そうした「いい会社(お店)」をつくるには、良い社風づくりが欠かせません。目に見えない社風というものの持つ力は、とても大きなものがあります。その良い社風づくりに欠かせないのが、経営者の人間性です。つまり、経営者に人としてのあたたかさや思いやりの心(徳)があるか否かです。例えば、朝一番、笑顔で社員とあいさつを交わしたり、社員の体調を気づかってあげるなどです。不快さを与えてはいけません。

 私は素心学(素直な心を学ぶ人間学)において、「徳治経営」ということについて学びました。経営者の徳(思いやりの心)でもって、社員を治めるという考え方です。経営者が社員に対して思いやりの心で接することで、社員は安心と喜びを感じ、経営者に対して信頼を寄せます。お互いに信頼関係のあるとても良い社風ができ上がります。良い社風ができると、お客様に対して、今度は社員があたたかい思いやりの心で接します。そのことでお客様に対して、安心と喜びを与えることができ、会社(お店)とお客様の間に良好な関係が生まれます。これが「徳治経営」です。

 経営者は、周囲の人つまり、家族や社員やお客様に対して、不快さを与えていないか、安心と喜びを与える心づかいができているかを日々反省しながら、日々の言動を正していくことが求められます。そうしたことをきちんと実行していくことが良い社風づくりには欠かせません。

 私達のような街のパン屋さんは、いろいろ数多くの問題をかかえています。その解決にあたって力を発揮してくれるのが、良い社風です。参加された経営者の皆様に今一度「良い社風づくりこそが、いい会社(お店)づくりに欠かせません。良い社風を自らの努力でつくってまいりましょう」とお伝えいたしました。

 
2012年9月 第260号より
芳野 栄
 
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