木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

試されどき

 

私の学んでいる素心学(池田繁美塾長)では、苦悩をやわらげる方法として次の五つのステップを示しています。

 1.苦を受け入れる(苦の認識)

 2.自己のあやまちに気づく(原因の究明)

 3.自己を正す(原因の消滅)

 4.相手に謝す(関係の修復)

 5.「素心の五行(素直な心に近づくための五つの行動)」の継続( 自我と業のコントロール)

 ところで木輪では、スタッフ全員で、“社会人としての日常の心がけ”を毎月一項目意識し実践していくことに取り組んでいます。そして、実践後の感想や気づき、反省点などを報告書にしてもらっています。その中には、とても真剣に取り組んでいる様子が伝わってくる報告書があります。真剣に取り組めば取り組むほど、自分の思うようにならず、悩んだり苦しんでいる様子がつづられています。

 そのような報告書を前にして、私は自分が素心学を学んでいることが、本物かどうか試されているのではないかと感じています。つまり、どのようにしてそのかたの苦悩をやわらげてあげることができるかということです。私は右の五つのステップに沿って話をすすめ、苦悩をやわらげてあげようと考えています。

 まず、「苦を受け入れましょう」と伝えます。悩んだり苦しんだりするのは、自分のあやまちに気づかせようとして起こるということ。だからほかの人のせいにしたり、問題を避けて通ろうとしてはいけないこと。次には、どんな時にどのような悩みや苦しみを感じるのか、思い方や考え方にクセやかたよりがないかなど、話を聴く中で原因を明らかにしていく必要があります。そして、原因を外に求めるのではなく、自分の内にあることを理解していただき、苦悩を引き起こしている思い方や考え方、行動や習慣を改める必要があることを伝えます。これまでの自分の思い方や考え方、行動や習慣を変えることはむずかしいことですが、苦悩をやわらげたり、再発を防ぐには欠かせないことです。覚悟が必要です。さらに、人間関係に支障をきたしている場合には、相手に謝り、関係を修復しておく必要があります。悩んだり苦しんだりするのは、必要以上にふくれあがった、自我や業の意識であるので、これを正しくコントロールできるよう、日頃から、素直な心に近づくための五つの行動「素心の五行」(禅的瞑想、歩行、写字、柔体、清掃)に無心になって取り組む必要があることを伝えなければならないと思っています。

 素心学で、学んだことを日常生活にいかに生かしていくか、また日頃の学びが本物か否かが、今試されていると感じています。

 
2012年8月 第259号より
芳野 栄
 
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