木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 
使命の変化
 
 自分のこれまでの使命について振り返ってみました。人はそれぞれに、他の人とは違った性質や才能を与えられていると言われています。その与えられた性質や才能を、周囲の人達のためにいかに使い役立てるかが、自分に与えられた使命を果たすことだと思います。

 周囲の人とは、まず妻であり家族です。次に職場の社員とその家族。そして、お客様はじめ地域社会の人々だと考えていました。しかし、ここ数年前より、私の働いているパン業界に対しても、自分に与えられた性質や才能を使い、役立つことも、私の使命ではないかと考えるようになりました。脱サラ後、三十七才でそれまでとは全く関係のないパン業界に足を踏み入れたのも、不思議な“縁”としか言いようがありません。二年間の修業後独立し、パンも充分に造れなかった私が、ここまでやってこれたのも私に対して何か別の役割が与えられているようでなりません。ただ自分の店のためだけでなく、パン業界をよりよくしていく役割があるのではないかと思うのです。

 素直な心を学ぶにつれて、自分の使命も少しずつ変化していっていることに気づきました。妻や家族を幸せにすることが自分に与えられた使命だということに始まり、その対象が社員やその家族へと広がり、お客様はじめ地域社会のために安心、安全でおいしいパンを提供するということになり、そして、業界のために何か、お役立ちできないものかという風に広がってまいりました。自分の果たすべき使命は、このように自分の心の成長度合、つまり素直な心の修得の度合いによって次第に変化し、広がっていくものと思いました。

 池田繁美先生(素心学塾塾長)は、使命について次のように述べられております。
―自分だけのこと、家族だけのこと、自分の会社のこと、自分の住む地域だけのこと、日本だけのこと、人間だけのこと、そうではなく、この世に存在するすべてのものの調和を考えて生きていくことが、私たち人間に与えられた使命(役割)だと思えてなりません―

 まだまだ私の気づいているところ、感じているところの使命というのは、小さく範囲もせまいものにすぎません。素直な心のレベルの低さと心の未熟さをものがたっています。

 現在の私に与えられた、私の分に応じた使命を、一生懸命になって果たしていくことで、また素直な心の段階を一つ一つ上げていく努力を続けていくことで、次の段階の使命へと押し上げられていくものと思います。天から与えられた性質や才能を謙虚に見つめ、そして伸ばしお役に立つことのできる分野をさらに開拓してみたいと思います。
 
2011年8月 第247号より
芳野 栄
 
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