木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 
日日 ひび あらたに
 
 「日日新たに」という言葉は、中国の古典「大学 だいがく 」の中にでてくる言葉で、次のように書かれてあります。「 とう ばん めい いわく、 まことに日に新たに、日日新たに、また日に新たなりと。」 いん湯王 とうおうは洗面の うつわ に「苟に日に新たに、日日新たに、また日に新たなり」という言葉を刻みつけ、つねに覚悟を新たにして、毎日の仕事に取り組んだとされています。何事も一つのところにとどまってはいません。つねに動き、流れています。「日日新たに」とは、現状に満足することなく、つねに新たな気持ちで努力を積み重ねていくことの大切さをあらわした言葉でしょう。

 企業経営においても同じです。事が成り、順風満帆な状況下では、「もうこれでいい、よく頑張った。」といった安堵感や慢心から日々の努力を怠ったり、日々の変化にも次第に疎くなり、気づいたときには、取り返しのつかない状態になっていることをよく経験します。「日日新たに」の気持ちを忘れず、毎日の変化に合わせて努力を重ねていくことが大切です。

 PANメンバーズも、今年六月で設立三十周年という節目を迎えました。大変よろこばしいことです。多くの方々の思いと行動と努力により迎えることができたものと思っています。「十年偉大なり、二十年畏るべし、三十年歴史となる」という言葉にもありますように、PANメンバーズという会は三十周年を迎え、パン業界に一つの歴史をしっかり刻むことができたのではないでしょうか。

  さて、現在のパン業界の置かれている環境を見てみますと、これまでにも増して、きびしい状況にあります。小麦粉をはじめとする諸原材料価格の値上がり、労働環境の改善、後継者や人材の育成等々、すぐにでも解決しなければならない問題が山積しております。PANメンバーズには、こうした問題にこれまで以上に積極果敢に取り組み、一つ一つをしっかりと解決していくことが求められています。冒頭の言葉のように、「日日新た」な思いや考えで臨まなければならない節目を迎えております。

  これまでのことにとらわれない、自由闊達な新しい思いや考えが求められています。PANメンバーズの設立精神 - Planning Active Now - “常に新しい事を創造して、アクティブに行動する”をしっかり継承し、業界のリーダーや模範となるべき使命と誇りを新たに行動しなければなりません。これまでの三十年間は、これまでにPANメンバーズにかかわってこられた皆様方のおかげで、すばらしい歴史を刻むことができました。これから先の歴史は、三十周年という節目の年にいる私達が、自分達の努力でつくっていくという新たな覚悟がなければならないと思います。

  竹は節をつくることで強くたくましく成長していきます。PANメンバーズの三十周年という節を、これからの成長に耐えうるだけの大きな節目にするためにも、私達は設立の精神に立ち返り、「日日新たに」の言葉の如く、覚悟を新たにしながら日々の活動に取り組んでいくことが、求められていると思います。

(PANメンバーズ六月例会 講演要旨より)
 
2011年7月 第246号より
芳野 栄
 
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