木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 
社員の良いところに目を向ける
 
 前号にて、「自分をもっと知ろう」と題して、自分の良いところや未熟な性格をじっくり見つめる勉強会を実施したことについて書かせていただきました。

 勉強会のあと、一人の社員に「自分の良いところいくつありました?」と尋ねたところ「十個くらいでした。」と返ってきました。私が感じるところ、その社員には、もっとたくさん良いところがあるだろうと思い、「じゃあ私が、あなたの良いところを三十個あげてみるね」と言い、すぐにその場で十一個程あげました。日頃から感じている良いところはすぐにあげることができても、まだ私が気づいていない部分で、その社員の良いところをさがすとなると、むずかしくなりました。翌日から時間をかけて、その社員をよく観察しながら一つ一つあげていく日が続きました。

 二十個ほどその社員の良いところがあがった時に、私の心に変化があらわれはじめました。よく観察し良いところをさがしていくうちに、その社員のほんのちょっとした良いところを発見できた時には、「この社員にこんなにすばらしいところがあったのか」と何か大発見したようにうれしくなり、心が満たされていくのです。同時に、その社員に対して気になっていたところはうすれていき、次第に自分の心の中で気にならなくなっていくのです。また時間が経つにつれて、そのほんの小さな良いところがとても大きな良さに変化していくのです。そうしたことを一つ一つくり返していく中で、その社員は、次第にとても立派な良いところばかり持ったすばらしい社員に私の中でなっていくのです。すると、その社員に対して、私の持っているもの以上のものを持っていることに気づき、これまで以上に尊敬の念が湧いてきました。すばらしい人間として一層輝いているのを感じます。

  人は皆、誰とも違う良いところを持ってこの世の中に生まれてくると言われます。その良いところにしっかり目を向け、その人の良いところを伸ばせる環境づくりが大切だと思いました。同時に、人の良いところに目を向けることが少なくなると、良いところとは反対に、その人の悪いところや欠点に目が向きはじめ、そこが気になりはじめるようになるものだとも思いました。人の悪いところや欠点ばかりに目がいってしまうのは、正しくその人を見ていることになりません。自分の「心のクセ」が知らず知らずのうちに、そうした偏った見方をつくってしまうのだと思います。

  素直な心を身につけることで、一人ひとりを正しく見ることができ、社員の良いところに目を向けることができるようになると思いました。
 
2011年1月 第240号より
芳野 栄
 
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