正しい心(良心)に従った行動をしよう |
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私の学んでいる「素心学要論」(池田繁美著)という書物の中に“素直”という徳目に対して、次のように解説されています。
先日、ある研修会で、「朝のあいさつが基本」と題して、約七十名ほどのパン屋さんや関連企業の皆様の前で、話をすることがありました。「社員同士のコミュニケーションを良くし、人間関係を良好にし、温かく、やさしい雰囲気や活力のある、チームワークのよい職場づくりには、朝のきちんとしたあいさつが基本です」という内容で話させていただきました。翌日、その話を聞かれていた約七十名の方々のうちの一人、Mさんに再びお会いした際に「今朝、早速朝一番のきちんとしたあいさつを、社員と交わしてきました」とニコニコ顔で報告してくれました。私は、とてもうれしくなりました。Mさんは、なんて素直な方なんだろうと思いました。 一人の口から約七十名の方々に発した話は、聞き手の思いによって、それぞれに違ってきます。ある人は、「いい話だった。すぐに実行しよう」と思うでしょう。「いい話だったが、実行するとなるとなかなかむずかしいなあ」と思う人もいるでしょう。中には、「私は別の考え方だ」と思う人もいるでしょう。それは、人それぞれの心の中に、知らず知らずのうちに、「自分にとってどうなのか、損か得か」という判断基準で判断する意識や「面倒だ」「照れくさい」といった意識が働くからです。 ここで正しい心(良心)に従うならば、人から聞いたことを正しく受け入れることができ、さらに行動に結びつけていくことができます。Mさんは、まさに「素直な心」の持ち主と言わざるを得ません。また、素直に一歩を踏み出したことによって、「今回のように何事も素直に受け入れ、あたり前のことをあたり前に実行していくことがとても大切なんですね」という言葉のように、大切なことに気づかれ、良い流れが流れ始めるように思います。報告されているMさんの素敵な笑顔に私も幸せを実感できました。 「はい、わかりました」と返事だけをする人と、「はい、わかりました」と返事をし、かつ正しい心(良心)に従って行動ができる人との間には、大きな差があるように思いました。 |
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2010年11月 第238号より 芳野 栄 |
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