木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 
原点を見つめ直す
 
 物事が行き詰ったり、うまく運ばない時、まず原点を見つめ直すことや、原点に立ち返ることが大切だと思います。何事もスタート時点では、理念や目標をしっかり立て、それに沿った行動をとることができますが、時間が経つにつれて、少しずつ理念や目標との間にずれが発生し、長い期間のうちに大きくずれ、最悪の場合スタート時点の理念や目標が失なわれることすらあります。原点からずれるのは、急激にずれることはないと思います。少しずつ、徐々に、気づかないうちに原点からずれていきます。そのずれに気づいたとしても、手を打つにはまだ少し早いと思っているうちにも、ずれていってしまいます。

  原点とは、理念や目標のことだと思います。また、本来あるべき姿とも言えると思います。スタート時点では、素直な心、真摯な気持ちで、しっかりと理念や目標を定めます。それ故に、原点に立ち返るということは、もう一度スタート時点の素直な心、真摯な気持ちに立ち返り、先に決めた理念や目標また、本来あるべき姿と現状との間にずれがないかを確認することだと思います。そしてその頻度は、定期的に短期間の間隔で行なうのが良いと思います。

  原点からずれる要因として、私は次のように考えています。
1.
理念や目標が、はじめから曖昧であったとき(文章化、明文化されていない)
2.
理念や目標の意識が薄れたとき(周知徹底されていない)
3.
自立心が失なわれ、何事も依存してしまう心になったとき(人まかせになってしまう)
4.
自分さえよければという考えになったとき
5.
今さえよければと目先のことしか考えられなくなったとき
6.
損得勘定が判断基準となったとき(ある老舗が社会から非難を受けたのは記憶に新しい)
7.
考え方が硬直して、融通がきかなくなったとき(社会環境や時の流れに適応できない)








  それらの要因をさらに深く考えてみますと、素直さと謙虚さを失い始めた時、原点からのずれも始まると言えそうです。特に注意したいのは、予想に反して、事が順調に推移しすぎる時に、原点からずれやすいということです。

  原点を見つめ直すときに必要な姿勢として、真剣に、本気で取り組むこと、さらに素直に人の意見に耳を傾けること、謙虚な心で臨むことがあげられると思います。

  原点を見つめ直すとは、理念や目標と現状を比較し、そのずれを正していくこと。さらに、先に述べた
”原点からずれてくる要因”の一つ一つを見直し、再び理念や目標とのずれを生じさせないよう手を打つことだと思います。

(平成二十二年六月 開催されたパンメンバーズ例会 講演要旨より)
 
2010年7月 第234号より
芳野 栄
 
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