木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

体を慈愛する

 

 先日、胃カメラによる胃の検査を行ない、はじめて胃の内部を見ることがありました。胃の内部は、ピンク色で つや があり、傷一つない状態でその美しさに感動しました。胃カメラによる検査でポリープや潰瘍やその跡が見つかったり、胃の粘膜が荒れていたりということをよく聞きますが、私の場合、生まれた時とほとんど変わらないのではないかと思うくらい美しいものでした。

 内部の様子を見せてもらったあと心から体を大切にしなければという思いが湧いてきました。傷一つないきれいな胃の中で、私が食べた食物を胃酸やその他の分泌物で消化し、次の小腸の方へ送ってくれているのです。私が命令を下している訳でもないのに、胃壁から自然に胃酸や分泌物を出し消化してくれています。胃壁は胃酸によっておかされないよう、それに耐えうる組織ででき上がっているのです。その他どれをとっても私の思いや命令で動いているものは一つもありません。私は、間違いなく目に見えない力によって生かされているのです。ただ、ありがたいとしか言いようのない感謝の気持ちがわき、大切に使わせていただきますと謙虚な気持ちになりました。
 
 八年前、九十五才で亡くなった母親が、最後に私に伝えたかったことは、体を大切に いたわ りながら、健康で丈夫で明るく与えられた命を精一杯生き抜くことだったということを思い出しました。生まれた時の体に近い状態で命を全うすることだと思っています。
 
 今回のことで、自分の胃についてとても愛着が湧きました。決して重い負担をかけずに、大切に大切に使わせていただこうと決心しました。胃に負担をかけない為に、食物をよく噛んで胃の中に入れる。食べる量を腹七分に抑える。熱いもの、冷たいものを成丈さけ、刺激を与えない。刺激物を控える。ストレスを与えないよう、心を穏やかに平静に保つ。定期的に検査を受ける等々、自分の体に思いやりの心を持って接していこうと思います。
 
 これから、私に与えられた使命を果すには、体が健康で丈夫であることが大前提となります。体は預り物。無理せず、大切にしながら使わせていただきます。

 
2009年11月 第226号より
芳野 栄
 
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