木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

使命感を持って生きる

 

 「使命感を持って生きる限り、命は終わらない」ということを感じさせるテレビ放送がありました。

 Aさんはとても海が好きで、若い頃から子供を集めては、海のよさを語ったり一緒に過ごしては子供達に喜びを与え、それを生きがいとする日々を送っていました。ところが、肺がんを患い、余命数ヶ月と宣告されたのです。余生を海のそばで過ごそうと沖縄に移りました。浜辺に散らかっているペットボトルが気になり、一人で拾い集めていると、次第に子供達も一緒に拾うのを手伝ってくれるようになりました。そのペットボトルを利用して、本物そっくりの海の動物をつくり、子供達を喜ばせました。さらに、子供達と約束して、それを水中で動かせるようにしました。自分の病気のことは忘れ、工夫と努力を重ね、子供達との約束を守り、子供達を喜ばせたい一心で取り組みました。四年の歳月をかけてみごと完成させ、子供達は大喜び。さらにAさんは今後、体の不自由な方のために水中で動く動物。それも人がその上に乗ることができるものに挑戦していくということです。ガンを宣告されて実に十四年の年月が流れていました。まさに、使命感を持って生きている限り、命は終わらないことを感じずには、おれませんでした。
 
 そう考えると、生きることに心から勇気がわいてきます。たとえ身にどんなことが起ったとしても、使命感を持ち、それを果たすまでは、世の中から必要とされ、生かされると思うからです。もちろん、体を酷使したりせず、体をいたわり大切に使わなければいけません。
 
 人はだれでも、それぞれに使命を持って生まれてくると言われます。素直な心で、目の前の仕事に正面から向き合い、一生懸命取り組みながら、その使命に気づき、自覚し、それを果たすために勇気をもって、生きていきたいものだと思います。自分に与えられた能力を最大限に生かし、周りの人を喜ばせながら生きることこそ、正しい生き方ではないかと思います。
 
 私も、自分に与えられた使命を自覚し、これからも勇気を持って生きていきたいと思います。

 
2009年9月 第224号より
芳野 栄
 
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