木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

情熱と行動力で

 
  「考えてばかりいると、日が暮れちゃうよ。」私の好きな、相田みつをさんの言葉です。

 一月下旬、東京にあるジュノン≠ニいう美容室の社長である平野尚さんとお会いし、帰路についた時、ふと心に浮んだ言葉です。「一人前の美容師である前に一人前の人間であれ」と自分の店舗のスタッフのみならず、業界の将来を想い、若い人材を育てる環境づくりをしようという熱き想いとそれを具体的な行動で実行されている平野尚さんに感動です。

 平野さんは、すでに35年前、この業界に身を置くようになってから、そうした人間性の大切さに気づかれ、職場環境をよくしようと同志を集められ、まず、自分達の人間性を高めるために、週一回の勉強会を立ち上げ、何年もその勉強会を続けられました。さらに、若手美容師を育てるべく勉強会(若竹塾)を立ち上げられ、そこで多くの若い美容師を育て、現在では、技術はもちろん人間的に魅力のある若者が第一線で活躍されるまでに成長されています。平野さんの若手美容師育成にかける情熱とその想いを具体的に行動に移していく行動力のすばらしさに改めて脱帽です。さらにすばらしいのは、それらを長い間衰えることのない情熱でもって継続されているということです。まさに志の人と言えるでしょう。

 現在、私達のパン業界、特に木輪のようなリテイルベーカリー(個人路面店)では、多くの問題をかかえています。その原因の一つに、私は、経営者はじめ、そこで働く一人ひとりの人間性にあるのではと考えております。「一人前の製パン技術者である前に一人前の人間である」ことが求められているのではないかと思うのです。とくに、人手不足が慢性化し、若い人材が入社したとしても、育たずに辞めていくという事態がくり返されています。今、自分の店のみならずこの環境を「何とかしなければ」と思っていた矢先の平野さんとの出会いに、冒頭の「考えてばかりいると日が暮れちゃうよ」という言葉が心に浮んできた次第です。

 「自分の店のことだけ、うまくやっておればそれで良いのでは」という考えもありそうですが、周りも良くならない限り、自分の店も良くならないと思うのです。又、現状のままで放っておけないという思いが心の底から湧き起ってくるのを抑えきれないのです。

 もっと魅力のある、若き人材に支持され、活力のある、将来的にも成長できる環境を整えたいと思います。今の私にできることから情熱と行動力を持って行動していこうと思います。
 
2009年2月 第217号より
芳野 栄
 
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