木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

創業二十周年を迎えて

 

 九月十八日で、木輪を創業して二十周年を迎えることができました。木輪を支えて下さってる、多くのお客様や現社員はじめ、これまで職場で一緒に汗を流していただいた約百名ほどの元社員さんに、心から感謝せずにはいられません。全くパンが造れなかったにもかかわらず、開業し、よく二十年間も続けてこれたなというのが実感です。

 二十周年を迎えた日、何かいつもと考えの違う自分を感じました。

 これまでは、少しずつでも成長することだけを目標としてきましたが、振り返ってみますと、成長することに少しとらわれすぎていたように思えました。経営者として、いつの間にか、「強い木輪」だけを目指して来たのではないかとふと思いました。その結果、考え方の中に りき みがあったり、行動の中にも りき みがあったりで、自分に合わないものを排除し、好きなものを選り好みしてきたようです。同時に、そうした心のクセにも気づかず、それを正すことなく、手つかずできたようです。

 しかし、これからは、「強い木輪」だけを求めるのではなく、並行して、「やさしい木輪」も求めていく必要があるのではないかと思いました。それは、線の細い木輪から、幅の広い、しっかりとした木輪になることで魅力的な木輪になることに通じるようです。

 「やさしい木輪」とは何か。考えは、まだまとまりがつかずわかりません。やさしい、思いやりのある人で構成する木輪のことなのか。人に対して、社会に対して、又、自然に対して、「やさしい木輪」になることなのか。キーワードは、「調和する」というところにありそうですが、これが二十周年迎えた日からの新しい課題であるように思います。

 小学生時代からの親友から、次のようなはがきを頂きました。

 二十周年おめでとうございます。
 これからも大きな年輪を刻み続けるよう祈ってます
 「百尺竿頭、進一歩」

 彼からの励ましにも私への経営者としての正しい道を求めるべく、さらなる期待が込められています。

 私の目指す、「やさしい木輪」を、しっかり考えた上で、お客様はじめ、社員に対しても役に立つことのできる、必要とされる幅の広い木輪に向かって、新しい一歩を踏み出したいと思いました。

 
2008年10月 第213号より
芳野 栄
 
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