木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

思いやりの言葉がけ

 

 先月の木々のささやきで、現在の若者がイライラしたり、不安や不満を感じるのは、一つに、「人間関係能力」に乏しい、未熟な心がわざわいしているのではないでしょうかと書かせていただきました。

 「人間関係能力」というと何かとてもむずかしく考えてしまいそうですが、人間関係能力とは、文字通り、人間関係がスムーズに、円滑にいく能力をいうのでしょう。一言で言えば、思いやりの心づかいがどれだけ身に備わっているかではないかと思います。つまり、相手に対して、どれだけ不快さを与えないで、安心と喜びの心づかいができるかということではないかと思います。

 具体的には、笑顔で挨拶をすることや、「ごきげんいかがですか」と相手を気づかう言葉がけ、「おかげさまです」、「ありがとうございます」など感謝の気持ちを伝える言葉がけや、「ごくろうさまです」と労をねぎらう言葉がけ、また、「お先にどうぞ」という謙虚さや謙譲を表わす言葉がけ等々がためらわずにできるかどうかということだと思います。

 日常生活を円滑に送るためのちょとした、文字にして数文字程度の言葉がけが大切で、こうした言葉がけをすればする程、人間関係が潤いのあるものになってくるように思います。人間関係に悩む若者は、こうした言葉がけや挨拶に疎いようです。

 若者の間では、携帯電話でのメールが大はやりですが、こうした言葉は、自分の肉声で心をこめて相手に伝える方が、こちらの思いが深く伝わるでしょう。口から発した言葉には、それだけの思いが、言霊として加味されると思います。

 「いつか、まとめて、大きな心づかい」より、ちょっとした事に対しても、「その時、その場での思いやりの言葉がけ」でずいぶん、人間関係も潤ってくるのではないでしょうか。

 私達は、一人では決して生きていくことはできません。いろいろな事で周囲の人のお世話になりながら、又、多くの人達と関わりあいながら幸せな人生を送ることを望んでいます。そうであれば、なおさら、人と人との関係が大切になってきます。幸せな人生をおくる上でも「人間関係能力」の向上に努めなければなりません。

 誰にでも簡単にできる、ちょっとした言葉がけの習慣を身につけたいものです。一人ひとりが、そのように努力することでもっと潤いのある、穏やかな世の中になるのではないでしょうか。

 
2008年9月 第212号より
芳野 栄
 
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