木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

壺中 こちゅう てん

 

壺中 こちゅう てん 」とは、心を静かにできる自分だけの別世界のことで、人生を味わい深いものにしてくれるもののようです。
私にとっての「壺中の天」とは、早朝四時くらいからから五時までの一時間くらい、静かな事務所で静かに良書を読むことです。今年二月から、仕事の開始時間を一時間繰り下げました。その一時間を有効に生かす手立てはないかと考えた結果、良書を読むことに当てることにしました。日頃から、良書に接していたいと思いながらもなかなか落ち着いて読む時間がとれませんでしたが、おかげさまで、とっても楽しいひとときを過ごすことができています。

私はこれまで、今回のような心地良い心境になれたことがなかったように思います。まさに、私にとっての「壺中の天」です。心の緊張感がほぐされています。そして、一心に本を読みます。すると、心から至福の時が味わえ、心の喜びを感じます。それは、私にとって、これから始まる激務の前のひとときの一服のお茶にも値するとっても価値あるものです。どんなに気の合う仲間と盃を酌み交わしても、語り合ったとしても、それとは違った至福感があります。

以前から、「壺中の天」という言葉は存じていましたが、これ程すばらしいこととは、思いませんでした。人生にとって、本当に大切なひとときであるように思います。

毎日そのような体験ができると思うと毎日が楽しくなります。床に就く時も、明日も至福な時を味わえると思うとうれしくなります。毎朝三時過ぎの起床もスッキリと元気に目ざめることができます。そして気力が湧いてきます。粗末ないつも居る事務所が別天地だなんて考えもしませんでしたが、何と幸せなことでしょう。心が澄み、穏やかになれる空間の大切さをしみじみと感じています。これまで何かをすることで楽しさを求めてきましたが、心から愉しむというのは、案外ほんの足元ある些細なことでできるものだと気づきました。

時間は、ゆっくり流れていますが、足早に過ぎ去っていきます。だからこそ、心を静かにできる自分だけ別世界を持ち人生を味わい深いものにしていくことが大切だと思いました。


 
2008年 3月 第206号より
芳野 栄
 
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