木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

亡き母の教え

 九月十六日、私の母の七回忌の法要がありました。亡き母を偲び、仏前に手を合わせ、亡き母に対する敬いの心と感謝の心を新たにし、同時に私に残してくれた教えを振り返ってみました。

 母は、満九十五才で天寿を全うし、心臓には、ペースメーカーを装着されているものの、心臓を含め、体を構成している細胞の全てが活動を停止し命を閉じました。いわゆる老衰でした。

 母の私に対する最後の教えは、「天から授かった大切な命を無駄にせず最後まで大切に使わせていただき、周りの人々に良い影響を与えながら、命を全うしていくことの大切さ」であったように思います。自分の肉体を構成する細胞の一つ一つが喜ぶように日頃から、鍛えておくことも大切でしょう。細胞が傷つくような怪我や病気は、自らの注意や日頃からの養生を通して避けなければなりません。イライラしたり、落ち込んでしまったり、人を悪く思ったり、恨んだり、嫉んだりするようなことも、細胞を生き生きと活動させる上では、マイナスの事となるでしょう。

 私達は、とかく目に見える肉体(体全身)に目を奪われがちですが、肉体を構成する目に見えない細胞一つ一つを大切にすることが体や命を大切にすることにつながるのでしょう。私に与えられた使命に、「パンを通して地域の皆様の健康に寄与するということがあります。命を預かる仕事をしているという考え方に立つと毎日、仕事に向き合う姿勢がおのずと変ってきます。「私達のつくったパンを食べることによって、少しでも細胞に良い影響を及ぼし、細胞をも喜ばすことが大切だ。」ということです。そのためには、材料の選定に注意を払わなければなりません。いわゆる、「食の安全と安心」をお客様にお届けするということです。とっても重要な使命を与えられております。「命を全うする」ことに大いに関わっていることを自覚しています。

 母親の私に対する教えは、とっても奥が深いことを実感しています。母親の教えを大切に守り自らの命と同様に、関わりあいのある方々の命も大切にしていかなければならないと思いを新たに、仏前に誓いました。

 

2007年10月 第201号より

芳野 栄

 
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