木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 
読書百遍意自ら どくしょひゃっぺんいおのずか つう

 「読書百遍意自ら通ず」という言葉があります。

 

 ある会社の社長であるHさんは、子供の時に、お母さんから聞いたこの言葉をそのまま実践してみようと思い
「素心学講義」(池田繁美先生著)という本を百回読破されました。
毎日10分、これまでより早く会社に出社し、朝一番の読書を毎日続けられました。その期間、なんと六年八ヶ月余り。読み終えたあとの感想は、「百回読むということの大変さが身にしみてわかりました。」と、とても重みのある言葉です。又、「素心学講義」という本は、自分にとって耳の痛い話が絶妙のタイミングで出てきました。そのおかげで毎日10分間の読書を続けることができました。」と続けることのできた秘訣も話されていました。

 

百回読み返すうちの心の変化として、自分一人で生きているのではなく、周りの環境から生かされていることがわかり、社員に対する感謝の気持ちが芽ばえてきて、社員が会社に来てくれるだけでありがたいと思えるようになったそうです。社長自らが変わることで、会社自体もこれまでと違った別会社のようになったそうです。売上高や利益といった数字を追うのでなく、社員が働きやすい職場環境の整備をしたり、良い社風づくりを目指すようになったということです。社員教育の一つとして幹部社員には、二ヶ月に一冊の課題図書を与えます。
そうした社長の思いに応えるかのように読後感想文を幹部社員、全員からいただき、コミュニケーションを図る上でも、考え方のベクトルを合わせる上でも大変役に立ち、社員のすばらしさの再発見に努力されています。

 一冊の本を百回読み返すことは、大変な忍耐を必要とすることでしょう。まさに、自分磨きのきびしい終業とも言えるそうです。それを成し遂げることで、以前の自分と比較にならない程のすばらしい自分に変化し、そのことで周囲の人をも幸せにしてあげることができることがわかりました。

 

 以前のHさんのことは、存じませんが その容姿、立居振舞いは、堂々とし、落ち着き払い、又表情は、柔和で穏やかで「素心学講義」の著者の池田繁美先生にその姿が重なって見えました。

 

「読書百遍意自ら通ず」。一冊の本を百回読み返すことの大切さと、その意味することの大きさを感じることができました。

 

2007年8月第199号より
芳野 栄

 
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