社員を 育 む |
ある講演会の結びの言葉として講師が「人材育成のポイントは、社員を 育 むことです。」と言われました。「 育 む」という言葉を耳にした瞬間、心が温かくなり、何故か心がとても喜んでいるようで、やさしい気持ちになりました。 辞書で「 育 む」という言葉の意味を調べてみますと、「 育 む」とは、親鳥がヒナを自分の羽根で抱きかかえて育てるという意味が書かれてありました。「 育 む」という言葉のひびきが良いはずです。 人材育成は、「教える」でも「育てる」でもないようです。「教える」、「育てる」という言葉にどこか謙虚なひびきが感じれません。一方、「 育 む」という言葉は、どことなく温かくて、やさしいひびきを感じます。親鳥が、できるかぎりの大きな羽根でヒナをやさしく、温かく抱きかかえようとすると、そこには、親鳥の羽根の大きさと心のぬくもりが大切となります。 同様に人材を 育 むためには、経営者や上司の人間としての器の大きさと心の温かさ、思いやりの深さが大切だと言うのでしょう。部下や新入社員を正しく導びくためには、彼らを我が子のように思い、愛情を持って導びいていかなくてはならないということでしょう。そうすることでこちらの心がおおらかで寛大になります。声を荒げて怒ることもありません。言葉づかいも正しく、丁寧でやさしくなります。又、社員の希望や要望に誠心誠意対応するようになります。心を 空 にして社員の言うことを丁寧によく聴いてあげるようにもなります。社員を我が子のように大切に、温かく導びこうとする行為が社員を育むことになっていくのだと思います。 ある本の中に、「人材育成や、社員教育の目的は、自社にとって都合のよい人材に育てるのではなく、その社員が万が一、会社を退職したとしてもそのあとも一人の社会人として立派に社会で通用するように、社会人としてのマナーや見識を身につけさせること。」と書かれていました。そのような考え方に立って、社員一人ひとり人間性を育んでいくことが人材育成を行う上で大切だということを学びました。 何かのご縁で結ばれた経営者と社員、また社員同士。お互いが温かい、ぬくもりのある職場環境の中で人として成長し、生き生きと仕事に取り組めるよう一層の努力をしなければならないと思いました。 |
2007年6月 第197号より |