木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

入学式を終えて

 

 四月、今年もまたかわいい新一年生が誕生しました。聞くところによりますと、例年通りご両親に付き添われ、中には、祖父母にまで付き添われながらの入学式であったようです。幸せ一杯で笑顔があふれた我が子に健やかな成長を祈りながら、ご家族で新入学をお祝いされたのではないでしょうか。

 さて、現在の世相を見ていますと、入学時には、全ての新入学生が希望を胸に笑顔一杯で、多くの人に祝福されたにもかかわらず、時が経過すると、その笑顔は消え、虐待やいじめ等の社会問題の中に身を置く子供達になる場合もあります。家庭の両親ももちろん本人も誰一人として望んでいないのにどうしてこうなっていくのでしょうか。

 いろいろ原因はあるようですが、原因の一つに家庭での親子の関わり方もあるのではないでしょうか。日頃から子供を一人の人間としての人格を認めた上で正しい躾けや教育がしっかりとなされているかということです。子供の人権を無視し自分勝手に振舞う親。したがって意のままにならなければ怒り、手を当てる親。人前で他人に迷惑をかけているにもかかわらず子供に注意せず、その非を詫びることをしない親。人に対する思いやりどころか、それとは正反対に人を蹴落としても自分の欲を満たす術を教えこむ親等々。親に起因することが多いように思います。学校に入学し、学年が進むと、友達との人間関係能力の不足から"いじめ"が発生する場合があります。人間関係能力とは「相手のことをどれだけ思いやることができるか」ではないでしょうか。入学前、そして小学校在学中の家庭でのそうした基本的教育が大切だと思います。

 教育とは、「教える側の全人格の移し変え」と言われます。教える側つまり家庭では両親、学校では教師の人格(徳)が問われる訳です。
 それなりの人格(徳)を身につけておくべきでしょう。そのような環境の中で子供を育んでいくことで"いじめ"等の問題は減っていくのではないかと思うのです。

 両親が付き添い、子供の幸せ一杯の笑顔あふれる入学式は、これからの両親と教師のお互いの人格向上を目指してこそ生かされるのかもしれません。

 

2007年5月 第196号より

芳野 栄

 
戻る