木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

手間を省かない、心を省かない

 

 私は、手間を省かない、心を省かない生き方をしたいと思っております。そのように言うと何か大袈裟な事のように聞こえそうですが一つ一つ事を実行するに当って、「そこまでやるか」と思えるくらい事前準備に手間と心と時間を惜しみなくかけ対応したいと思っているのです。

 事を成す人というのは、このように何事にも「そこまでやるか」と思えるくらいに徹底してやっておられるように思います。表面には見えない、表われないところに手間を惜しまない、心を省かない努力をされていらっしゃるようです。

 私の人生の師でいらっしゃいます、池田繁美先生から素心学(素直な心の行動学)を学ばせていただいておりますが、先生は、私達にご講話される際、それはそれは、充分すぎる程、丁寧に丁寧に手間と心と時間をかけられ、私達が理解しやすいようにと心をくだかれていらっしゃいます。ある時、素心塾開始前、心の中で何度も何度も講話内容を確認され納得されながら準備されているお姿を拝見いたしました。先生でさえ、これ程入念に準備されているのだと驚きました。私達塾生に対して失礼のないよう又、理解が深まるようにとの思いやりの心のあらわれであろうと思われます。

 このように、心を省かず手間をかけ、時間をかけ、「そこまでやるか」の心で事に対するのは、自分にできることの100%以上を実行していることでうまく行かないはずはありません。一つの事にとどまらずいろいろ多くの事にそのように対処していく人生を歩むならば、その結果は、対処するごとにどんどん良くなっていくでしょう。

 反対に、一つの事に対して、手間を省き、心を省き、そこそこの努力で良しとし、その結果にも妥協していくことは、自分の力の100%以下しか発揮していないことになります。これが繰り返えされれば、人生の結果は、限りなくゼロに近づき悪くなっていきます。一つの事に対して、「そこまでやるか」と思うくらいやるのと、そこそこでお茶をにごすのでは、差はあまり生じないかもしれませんが、これが人生という大きなスケールとなるとその差は、想像を絶するものとなるでしょう。

 一つ一つの小さな事に対してでも手間を省かない、心を省かない心で臨むよう心がけていこうと思います。

 

2007年3月 第194号より

芳野 栄

 
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