木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

「はい、わかりました。」

 「はい、わかりました。」と受け入れることが素直さの証しだと思っています。素直さは、その人を成長させ、周りの人や自然から支持され、幸せな人生を送ることができるようです。

職場では「はい、わかりました」と返事のできるスタッフが目につきはじめました。しかも「よろこんで」の気持ちが伝わってくる人もいます。

 十月九日、木輪創業十八周年記念コンサートを開催いたしました。そのコンサートの最後に、スタッフを代表して、渡辺幸典君が、お客様に感謝の気持ちを込めて挨拶を述べました。コンサートの一ヶ月程前に、「スタッフを代表して挨拶を述べて下さい。」と頼んだ時の返事が、「はい、わかりました。」です。

 彼は、これまで一度も、多勢の方々の前で話したこともなく、全くはじめてのことでした。内心は、不安一杯の事でしたでしょう。しかし、その挨拶の内容といい、態度といい、とても日頃の彼と違って、堂々と落着いたものでした。何度も、練習したのでしょう。努力のあとがうかがえます。たぶん、昨年の今頃の彼であれば、スタッフを代表しての挨拶となると、「どうして私なんてすか。」「私は、これまでそのような事やったことがありません。無理です。」「できません」「他の誰かに頼んでもらえますか」という返事が、返ってきたでしょう。ところが今年は「はい、わかりました。」の一言。この一言に彼の人間としての成長の跡が見えます。「はい、わかりました」と受け入れることが素直さの証であり、自分を成長させてくれる何ものでもないという思いが、彼の心の中にきちっと根づいているのでしょう。

 私は、日頃から、その人にとってたやすくできる事を頼んむことよりその人にとって少し、努力を必要とするが、それをやりとげることによって成長できると思う人に頼み事をすることがよくあります。そうした事を「はい、わかりました」と受け入れ、努力を重ねるわけですから、成長しない訳はありません。それをくり返し、くり返し実践することで、成長は著しく促進されると思っています。
 反対に、「はい、わかりました」と受け入れることができない場合、強要はしませんが、自分で自分の成長を押さえ、成長のチャンスを逃したことになります。残念なことです。

 素直さを実践する、つまり人の言うことを「はい、わかりました」と受け入れる心を持つことで 人間的に成長できるものだということが、今回の件で確信持てました。

 

2006年11月 第190号より

芳野 栄

 
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