屋久杉に学ぶ |
お盆休みを利用して屋久島に行ってまいりました。 屋久島の杉木立の中に身を置いてみると木々から、又自然から"本来あるべき姿"のいくつかを学ぶことができました。
無理をしない 倒木している屋久杉の年輪を見て、その間隔が日頃にする木の年輪に比べとても蜜になっていました。
逞しい生命力 屋久島は、土台が花崗岩で、それが風化してできた土の上に杉が育っています。杉木立の中で圧巻だったのは、杉の無数の根がしっかり岩を抱き込み、岩を這うようにして、土の中に根を伸ばしている姿でした。彼らの生きる知恵でしょうか。雨風に耐えうるように岩をも取り込んでいるのです。根と岩で自らの木をしっかり支え、すくっと真直ぐ立っています。生きることへの執念、生命力の強さに驚かせました。
成長し続ける 自然は、急激な変化を嫌います。しかし、目には見えないけれども確実に成長を続け留まることをよしとしないようです。切り株の上に苔が生えその湿潤な状態の中から新しい木の芽が伸びてきています。一瞬も休むことなく全てのものが成長方向へと進んでいるのでしょう。
捨て去ることの大切さ 樹齢数千年の杉は、不要なもの全てを身から捨て去っているようです。屋久杉は、長く生命を維持していくために、気の遠くなる程の長い根をしっかり張りめぐらしています。また幹もその根にふさわしい大木に成長しています。しかし、それ以外の枝葉はじめ不要なもの全てを捨て去ってしまっているようでした。身を軽くして環境の変化に対応しやすくしているのでしょうか。全てを捨て去ることで大木に成長できるのでしょうか。私達人間に、自我を捨て純粋な心、素直な心になることで人間として大きく成長できることを屋久杉が示してくれているようでした。
全てを受け入れ共生と調和をはかる 屋久杉の切り株には、幾種類もの木が着生していました。
環境を整える大切さ 屋久島には、樹齢数千年の屋久杉が育っています。その木々に、すぎ苔はじめきれいな苔が多く育っています。
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2006年9月 第188号より 芳野 栄 |