木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

胸が熱くなりました 

 今年三月、香川県小豆島で旅館業を営んでいらっしゃる方から、とっても胸が熱くなるようなお手紙を頂戴いたしました。


 ・・・・・実は、今年三月初旬にご来館されました折、ある 先達 せんだち のご兄弟の何げない会話の中で、今年は、そのご兄弟のお父上様の七十回忌の年であることを知りました。最近では、十三回忌でもされない方がある中、「七十回忌の法要をされるお父上様はお幸せな方ですね。」と申し上げましたところ、 先達 せんだち のお兄様の方が三才の時、弟の方がまだお母様のお腹の中にいる時に出兵されて帰らぬ人となりました、「唯一、残された父の記憶は、たぶん駅かどこかわかりませんが、最後に面会に行った時、父がくれたジャムパンの思い出です。とってもうれしく、おいしかった記憶のみです。」と涙ながらに話されました。

 そこで誠にお手数をおかけいたしますが、ご兄弟の誕生日にそれぞれにジャムパンを送っていただけないでしょうか。送付の折、一言「天国のお父様からの贈りものです。」と書き添えていただければありがたいのですが・・・・・


 何とやさしいお心遣いでしょう。お手紙を読ませていただいたあと胸がジーンと熱くなり私にできることならと一も二もなく協力させていただくことを決心いたしました。
そのお手紙を頂戴して以来、この大切な役割を片時も忘れることなく、七月のお兄様の方の誕生日に届くようにジャムパンを造り贈って差し上げました。温かい心が伝わって欲しいと念じました。

 暗い、心の荒んだ話題ばかりの昨今、人間として持つ本来の心の優しさ思いやりあふれるこのたびのことをせめて「木々のささやき」の読者にお知らせいたしたく書かせていただきました。おかげさまで私も心が潤いとても幸せになりました。

 

2006年8月 第187号より

芳野 栄

 
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