木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

与えられた能力を私物化しない 

 先月号(182号)で「長所を生かす」と題して天から与えられた自分の長所を生かすことで世の中の人々を幸せにしようということを書かせていただきました。長所を生かすことと同じように大切なことに「与えられた自分の能力を私物化しない」ということがあるように思います。何故なら、長所と同様、能力というものもこの世に生を受ける時点で何らかの使命と共に授けられたものであるように思います。としたならば、その能力を私物化することなく自らその能力をさらに高める努力をし、能力を世のため人のために生かしていくことが大切でしょう。

 木輪のスタッフの一人に、パン技術専門学校を卒業後、木輪に入社した山本真吾君がいます。彼は根っからのパン好き人間で高校時代から家で時間をみつけては、パンを造ったりしてパンに興味を示していました。当然のように高校卒業後、大阪にある辻製パンカレッジへ入学し、パン造りの基礎の勉強に励みました。木輪に入社後は、一つ一つ丁寧に丁寧においしいパン造りを極めるべく日々研鑽と努力を重ねてきました。

 入社後七年目にして製パン技能士二級資格を取得し、八年目の今年、製パン技能士一級の資格を取得いたしました。本人も一級の技能試験に合格したことにとっても驚いています。高校時代からのパンとの関り合いの中で、彼の持つ能力が育ち、若くして一定の評価が下されたのでしょう。木輪にとっても、これ程うれしいことはありません。彼のもつ潜在能力に驚くばかりです。 しかし、見方によっては、彼にとって一つの試練の始まりでもあるようです。それは、彼の持つそうした能力を私物化してしまうのか、あるいは、生まれながらに授けられた能力として世のため人のために使うのかの選択をせまられております。また、製パン技能は今後彼がパン屋になるための一つの「道具」であります。彼は、自らの能力と努力ですばらしい「道具」を手に入れることができました。彼は、これからそのすばらしい「道具」をうまく使いこなせる人間に成長していただきたいと思っています。一流の人間が一流の「道具」を使うことによってはじめて世のため人のために生かすことができる信じています。一流の人間になる努力と研鑽もこれから必要となるでしょう。

 与えられた能力を私物化せず、その能力におごることなく謙虚に一人の人間としての学びもこれから深めて成長して欲しいと思っています。

 山本真吾君 おめでとうございます。


 

2006年4月 第183号より

芳野 栄

 
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