木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

こころが温かくなりました

 

ある小学校の校長先生は、目指す児童像の一つとして「思いやりのある子」を掲げ、毎日児童の指導に当っておられます。その校長先生のすばらしいところは、ただ理念を掲げるだけでなく、自ら「思いやり」を具体的な行動に移し実践され、また児童達にも「思いやりの行動」がどういうものかわかりやすく理解してもらうために、児童一人ひとりの行動をよく観察し、思いやりの行動を目にした時には、「今の君のその行動が思いやりの行動ですよ」とその場、その場で教えられているそうです。そして、そうした思いやりの行動を学校通信に書き綴り、広くご父兄の方々にもご紹介されているそうです。先日、目にした学校通信の中にも、「こころが温かくなりました」と題して、六年生の思いやりの行動を次のように紹介されていました。

誰がもどしたかは分かりませんでしたが職員室前の廊下に給食をもどした物が散らかっていました。六年生の男子が、一人でトイレットペーパーでその嘔吐物を拭いていました。私が手伝おうと手を出しますと「ここは自分の掃除範囲なので僕がやります。校長先生はいいですよ。」ときっぱり言ってくれました。「他の人は手伝ってくれないの?」と聞くと、「僕が気づいたから」と当然のように拭いていました。
人の嘔吐物を片付けるのに気持ちがよいはずはありません。しかし、その不快さを少しも私には見せませんでした。人がいやがり、誰れにでもなかなかできないことを当然のように掃除をしていた六年生に頭が下がりました。

紹介されいた文章を読んで私の心は温かくなることを越えて熱くなりました。校長先生から思いやりの行動を指摘されることでまた一人、思いやりのある児童が育ったようです。人を育てていくことは、このようにしていくことだと学ばせていただきました。

思いやりの心を持つ、又思いやりの行動のとれる集団にするには、まずそのリーダーや上に立つ人が自ら思いやりの行動を具体的に実践し、又その集団の一人ひとりの行動をよく観、思いやりの行動には心からほめてあげる、また皆の前で思いやりの行動を紹介していく。そうした事を積み重ねていくことで思いやりの輪が広がり、思いやりの行動のとれる集団となっていくのでしょう。
校長先生のそうした具体的な実践に多くの事を学ばせていただきました。

 

2006年2月 第181号より

芳野 栄

 
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