一歩一歩のつみかさね |
一球一球のつみかさね
積み重ねが大切。誰でもよく知っていて当り前の事です。ところが、私達の生活や仕事を振り返ってみて、この単純で当たり前のことがどれだけ実行できているでしょうか。 パン屋を例にとりますと、それこそパン一つ一つに対して心を込めて造っていくことを積み重ねていかなければなりません。またお客様一人ひとりに対して心のこもった接客や挨拶、おもてなしの心を積み重ねていくことも大切です。そしてさらに大切なのは、そうした積み重ねを毎日、毎日一日も欠かさず一つ一つ丁寧に丁寧に継続していくことです。期間限定であったり、一日一日にムラがあったりましてや積み重ねることを怠ったりしては、それまでの努力が水泡に帰するでしょう。決して一朝一夕にはいきません。 一方、効率を優先させるあまり、あるいは、結果をあまりにも急ぐあまり、雑な行動や考え方をする場合があります。その結果、一度に二つも三つも無理して積み重ねようとします。時には、大きなものを一度に積み重ねてしまうこともでてきます。しかし、それらをいくら積み重ねたとしても、安定性に欠け、いつの日にか根本のところから崩れてしまう結果になるでしょう。一度積み重ねたものは、崩さないようにしなければなりません。 事の成否は、小さな事を一つ一つ確実にしっかりと丁寧に積み重ねることができるか否かにかかっていると思います。しかし、小さな事を一つ一つ積み重ねていくことを継続していくことは、容易なことではありません。途中で面倒になったり、イヤになったり、なかなか結果がでない為、諦めかけたり、さまざまな障害が発生してまいります。そんな時のために日頃から心を鍛えておき、強い意志と信念を持って貫いていくことが大切だと思います。 一つ一つを確実に積み重ねていくことで、きのうの自分より、一ヶ月前の自分よりそして一年前の自分より今日の自分の方がより成長しているという絶対差となってあらわれるでしょう。
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2005年10月 第177号より 芳野 栄 |