木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

実行が大事

 相田みつをさんの「K君へ」という詩の中に、「いま・ここ・自分」、「ともかく具体的に動いて見るんだね。具体的に動けば、具体的な答えが出るから」という部分があります。

 事を成すには、「そのうちに」や「いつか」ではなく「いま・ここ」で「誰れかが」でなく「自分が」、「知識として取り込む」のではなく、「具体的に行動する」ことの大切さを説いていらっしゃるでしょう。

パン業界では、製パン技術講習がよく開催されています。多勢のベーカーが集まってとても熱心に勉強され、お客様に提案すべくいい商品を学んで帰られます。しかし、残念なことにせっかくいい商品や提案やそれらのヒントを教えていただいても、それをすぐに生かしていくという行動が少ないように見受けられます。ところが繁盛店というのは、そうしたことを一つ一つ丁寧に実行に移しそれらを一つ一つ積み重ねていらっしゃるようです。学びっぱなしではダメだということでしょう。

また講演会にて、経営の事や人生観等について立派な講師の方のとても良いお話を拝聴する場合があります。聴きに来られている方々が一様に頷きながら聞いていらっしゃいます。講演会後、講演をヒントに何か一つでも実行に移してこそ講演を聴いたことが本当に実りあるものとなるでしょう。聴きっぱなしでは大変勿体ないことになります。

 本を読むことについても同様です。良書を読んでいろいろな事を感じたり、考えさせられたり、多くの事を学びます。大切なのは、そうした学びを知識として頭に留めておくのではなく、何か一つでも学んだことを実際の生活に生かしていくことが大切です。できるならば、それを自分以外の人のために生かして喜ばすことができればとってもすばらしいことだと思います。

製パン技術者や講演会の講師又良書の著者等、その道の一流と言われる方々に共通しているのは、学んだり知識として吸収した事を、すぐに、具体的に自ら実行し、その中から体得した事を多く身につけられているということでしょう。私達も自分の持つ能力を生かし、一つ一つのことがらに丁寧に取り組み、「いま・ここ・自分」をキーワードに具体的な実行を数多く繰り返すことによって一流に近づけるものと思われます。

学んだ事、知った事は、具体的に実行に移し役立てていく。それも「自分一人のためでなく、自分以外の人々を喜ばすために」が大事だと思います。

 

 

2005年9月 第176号より

芳野 栄

 
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