木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

「さりげなく」行動する

 五月のある日、朝礼でスタッフの一人が「さりげなく行動する」と題してスピーチしました。内容は、次の通りです。

 甥の一人が、この四月から小学校に入学しました。入学式が終わり、帰りの様子をその母親がビデオに収めたものを見る機会がありました。
そこには、入学式を終えたうれしさ一杯の甥とそのお兄ちゃんが仲良く手をつないで歩く姿が映し出されていました。はじめ、お兄ちゃんが道路の端側を、弟が道路の中央側を歩いていたのですが、どう思ったのか、お兄ちゃんは、「さりげなく」自分が道路の中央側になるように、手をつなぎ換えて、弟を道路の端側を歩くようにしてあげていました。それを見て、私は、そのようなお兄ちゃんのさりげない行動をすばらしいなと思いました。人の事を思ってさりげなく行動してあげることは、大切な事だと思います。

 私はそのスピーチの感想として次のように話しました。

 とってもいい所に気づかれましたね。たぶんお兄ちゃんは、弟の身の安全を確保してあげるために、自分が道路の中央側を歩いてあげたのでしょう。そうした、人に良かれかしと思ってさりげなく行動ができる心が素直な心ではないでしょうか。また、さりげない行動こそ、思いやりの行動ではないでしょうか。日頃から皆様に、他人に対する思いやりについてお話してますが他人を喜ばすための、さりげない行動をお互いに心掛けたいものですね。

 そのスピーチがあった日から、そのスタッフの行動に変化が見られるようになりました。それこそ、さりげなく、他の人の仕事の手伝いや、人の仕事の段取り等をすすんでやれるようになりました。他人の仕事をよく見、自分にできる事はないか、お手伝いできることはないか、周りによく目が届くようになってきました。おのずと自分の仕事の範囲も広がり、その仕事のスピードもあがってきました。さりげなく行動し、他人を喜ばせてあげることが大切だと体感し、心の中に、その必要性が入っていったのでしょう。

 これから、ますます、心やさしい、思いやりのある人間に成長していって欲しいものです。

 心の芯から暖かくなるようなスピーチを朝礼で聞かせていただいた一日、とてもさわやかな心満たされた一日となりました。ありがとうございます。

 

2005年6月 第173号より

芳野 栄

 
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