木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

木輪のこだわり

  「木輪のこだわりは何ですか?」と雑誌の取材等を受けた際よく尋ねられます。そんな時「木輪のこだわりは○○○です。となかなかきちっと答えることができませんでした。

 「自家製の材料を多く使っています。カスタードクリーム、粒あん、こしあん、カレー等は自家製でおいしさを追求し、その他の材料も自分達で造っているものが多くあります。」

 「天然酵母も市販のものでなく、自家製で旬のフルーツを使い、自ら酵母を培養しそれを発酵させてパンを造っています。」

 「製法も商品によっては、低温長時間発酵させたものがあり、手間と時間をじっくりかけて造っています。」

 また「日替わり商品を充実させたり、卵や牛乳を除去したパンも曜日を限定して販売しています。」等々、他の店でやっていないことを実行していることは、たくさんあるのですが、これらがはたして、木輪のこだわりであり、差別化だと言いきれるかと言うと言いきれない部分があります。何故なら、それらは、他店もやろうと思えば条件が整えばいつかはやれるようになるであろうと思われるからです。

 こだわりとしてよく挙げられるのが材料、製法、販売方法ですが内容に多少の違いがあっても、本当にそれらだけが「こだわり」と言えるでしょうか?
そこで私は、他の店がなかなかこだわらない部分にこだわりを持つことを木輪のこだわりにしたいと思いました。

 木輪のこだわりは、「働くスタッフ一人ひとりから醸し出される、思いやりの雰囲気につつまれた店づくり」ということになるでしょうか。それはなかなかに表に出ない、見えにくい、評価されるまで時間がかかる、面倒でややこしいものです。まだ確立されたものではありませんが、これから木輪が目指しているものです。

 「思いやりの心でパンを造る」「思いやりの心でお客様と接する」目立たない、地味なことです。木にたとえるなら、枝や花のような人目につきやすく、賞賛の言葉がすぐに受けられる部分ではなく、人目につかない「根っこの部分」と言えそうです。しかし、そこのところがとても大切なような気がします。

 造る商品を通してお客様に不快な思いをさせない。安心と喜びを与える。接客を通してお客様に不快な思いをさせない。安心と喜びを与える。心と心の触れ合いを大切にする。そのような「思いやりの心」が一番大切だと思えるスタッフ達が育ち、そうしたスタッフ一人ひとりから醸し出される思いやりの雰囲気が店を充満し、お客様をやさしく包めるような店づくりを目指したいと思います。

 そのようなことに、木輪としてのこだわりを持ちたいと思います。

 
 
 
 
 

2005年2月 第169号より

芳野 栄

 
戻る