木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

最近出会った「いい話」

  七月のある日の新聞に「夫と公園」と題して、苅田町の屋久菊代様からの投書でとても感動するいい話が載せられていました。

 内容をかいつまんでご紹介しますと
 「荒れ放題で人が寄りつかなかった近所の公園を夫は、定年退職を機に『皆が気持ちよく使えるようにしたい』と一念発起。犬のフンの片付けや雑草取りに明け暮れる毎日。芝生を自分で植えつけ一面きれいなグリーンにしてしまい芝刈機まで購入して、手入れする念の入れよう。次第にきれいになった公園を訪れる人も増え、励ましの言葉もかけられるようになったり、また、公園のトイレ掃除を若いお母さんが買って出てくれるまでになった。人の目、口を気にせず五年間無心でやってきた夫を、私一人くらいはほめてやりたい。」という内容でした。

 ともすれば自分の事で精一杯で自分の事以外は、見向きもしない。自分にとって何か得なことがないと行動を起こさない。他人の事より自分の事を中心に考えてしまう。そのような人心の荒んだ昨今にあってとても感動する、心あたたまるいいお話ですね。
  「皆を喜ばせたい。」「皆が気持ちよく使える公園にしよう。」という立派な「志」に感動し、それを実際に行動に移し五年間も継続されている姿に頭が下がります。「人の喜び」を「自分の喜び」として行動されていることに、人間としての大きさを感じます。悪天候でも炎天下でも欠かさず黙々と続ける姿を想像すると「尊敬」という言葉が私の頭をよぎります。私の家の近くにも公園がありますが、草は、生え放題、トイレは悪臭が漂い近づきづらく用を足すには、体が引けてしまいます。その公園を前に、きれいにすることはいいことだと頭で理解できていてもなかなか行動が伴わない自分がいます。

 今回の屋久さまの投書を読ませていただき、私も第一線を退いたあとは、このような形で地域の皆様のお役に立ちたいという新たな目標ができました。

 その公園を是非一度訪れてみたいと思っています。

 相田みつをさんの詩に

 「毎日、毎日の足跡が おのずから人生の答えを出す。
   きれいな足跡には きれいな水がたまる。」

                                   とあります。

 これからの屋久様の人生には、心満たされることの多い、すばらしい人生がたくさん、待ちうけていることでしょう。「いいお話」ありがとうございました。

 
 
 
 
 

2004年8月 第163号より

芳野 栄

 
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