木々のささやき まごころを贈る パンの木輪 北九州市 八幡西区

 
 
木々のささやき
 

努力を継続する

 

  皆様には、昔こんな経験はありませんでしたか。「なかなかできなかった鉄棒の逆上がりがある時急にできるようになった。すると他の足掛け上がりや、蹴上がりなどもどんどんできるようになった。」また、「なかなか解けなかった数学の問題が何かの拍子で解けると、その他の問題も何かしら解けるようになった。」等。私の場合、パン屋になった当初、パン生地の扱い方がわからずいいパンがどうしてもできなかったのが、あるきっかけで、コツをつかみ、いいパンができだすと、他のパンについてもいいものができだすという経験をしました。

先日、「人生はY=aX^2(2乗)のグラフであらわすことができるのではないか」とふと思いました。Y=aX^2(2乗)のグラフは下図(a)のとうりです。

もっと0点近くを拡大して描くと(b)のようになります。
 
 ゼロからスタートしたグラフは少しずつ右肩上がりですがなかなか立ち上がりません。ほぼゼロに近い状態をとり続けます。

 しかし、あるポイント(変曲点)を過ぎるとグラフは、急速に立ち上がってくるのです。

 鉄棒の逆上がりにしても、数学の問題を解くことにしてもパン造りに於いても何か同じようなグラフをたどっているようでなりません。即ち、何かのきっかけや何かのひらめきをひとたびつかむと急成長するようです。別の言い方をすれば、「物事の本質を極めた時点」がそのポイントのようです。

 私は人生に於いてもこのことが言えるような気がします。本質を極めることができたなら、人生も大きく変わり人間としてその成長度合は、加速されるということです。しかし、ここで大切な事は、グラフが立ち上がるまで自分の人生もこのグラフのようになることを信じて、地道な努力を継続することです。そこまでにどの位の時間が必要かは、全くわかりません。しかし、努力を継続していれば、一応は右肩上がりを続けていることは、間違いありません。急な立ち上がりが来るまでの時間はそれぞれの人の能力と情熱と努力と考え方によって決まるものと思われます。私達は、毎日、毎日同じような事のくり返しの中でその成果が目に見えないと次第に気持ちが萎え、これ以上続けても無駄だとあきらめてしまいたくなります。しかし、それでやめてしまっては、すばらしい成果を見ることなしに、再びゼロに戻るでしょう。人生や仕事はY=aX^2(2乗)のグラフのようになることを信じて毎日地道な努力と工夫と改善を継続し、その成果を一つ一つ積み重ねていくことが本質を極める上で大切だと思います。

 私の場合、パン造りの本質を極めるまで精魂込めて、努力を継続したいと思います。
 
 
 
 
 
 

2004年7月 第162

号より

芳野 栄

 
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